
ガトーバスク試作記録 Part3
コンフィチュールの砂糖を減らして、もう一度作ってみました。
ただ、スリーズノワール(黒さくらんぼ)はコンフィチュールにすると、どうしても味と香りがボヤッとしてしまうのが課題。
今回は日本的に、周りを粉糖で仕上げてみた🇯🇵🇫🇷
生地は155℃で50分焼いたので、しっかりザクザクになっててOK。
小麦感もよく出ていました。
作品としての安定感もあり、あとはコンフィチュールをどうするか?
話は変わって、
前回の試作日記に書いた、日本での「ガトーバスク、ガトーブルトンとの混同説」を改めて検証してみました。
答えからいうと、実際はそうではなかったです。
日本でのガトーバスクにラム酒が入っている理由を調べたところ、1950〜1980年代には、バスク地方でもラム酒を使ったレシピも存在することがわかりました。
ガトーバスクの歴史。
1700年代後半、バスク地方の農村で、ガトーバスクの原型となる菓子が家庭の菓子として作られました。その後、1830年ごろにカミーユ・ルソー夫人がバイヨンヌ近郊の町「カンボレバン(Cambo-les-Bains)」でこの菓子を販売し始めたことが、ガトー・バスクの商業的な起源とされています。彼女が売っていたものは「Etchea(エチェア)」という名前で、バスク語で“家”を意味します。
当時はバスク地方特産のスリーズノワールが中に入ってました。
現在では、スペインの北バスクではチェリー派、フランスの南バスクではクレームパティシエール派が多いようです。
で、ラム酒は?
19世紀中頃、カリブから安価にラム酒が手に入るようになったことで、パティスリーとも相性が良く、多くの菓子に使われるようになりました。その流れで、ガトーバスクにもクレームパティシエールの風味付けとして取り入れられるようになりました。
その頃は、ちょうど日本人がフランス菓子を知り始めた時期でもあったようです。確かにそのタイミングでガトーバスクに触れた人にとっては、ラム酒が使われているのが“定番のスタイル”として認識されたのかもしれません。
この情報がそのまま日本に持ち帰られた結果、日本では今でもラム酒入りのガトーバスクが作られています。
一方で現代では、Eguzkia(伝統保護団体)が推進する「オーセンティックな製法」では、ラム酒を使用しないレシピが推奨される傾向にあります。
なので、今フランスでは、レシピ本やネットでガトーバスクを調べても、ラム酒を使ったレシピはほとんど出てきません。
これだからフランス菓子は面白い🇫🇷
で、改めて自分の試作に戻り、<コンフィチュールをどうするか?>について考えてみます。